こんにちは。大阪の西区にある大阪メトロ御堂筋線本町駅にあるフリージア歯科クリニック、院長の浦です。
皆さんは、最後に歯科医院で定期健診を受けたのがいつか覚えていますか?
「歯が痛くなったら歯医者に行けばいい」「特に困っていないので、しばらく行っていない」という方も多いと思います。
しかし、日々診療をしていて感じるのは、歯を長く残すためには、悪くなってから治療することだけでなく、悪くならないように管理することが大切だということです。
歯科の定期健診(定期検診)は、虫歯や歯周病を早期に発見するだけでなく、将来歯を失うリスクを減らすための大切な機会でもあります。
当院では、お口の状態に応じて、3か月ごとの定期健診やメンテナンスをご案内しています。
今回は、なぜ3か月という間隔をおすすめすることがあるのか、そして定期的なメンテナンスが将来の歯の本数にどのような影響を与えるのかを、実際の研究結果を交えながらお話しします。
1.30年間の研究でわかった、定期的な予防管理の大切さ
歯科の予防管理について、私がぜひ知っていただきたい研究があります。
2004年に発表された、スウェーデンのAxelssonらによる30年間の追跡研究です。
この研究では、成人375人を対象に、歯科衛生士による専門的な清掃やブラッシング指導などを組み合わせた予防プログラムを実施しました。
最初の2年間は2か月ごと、その後は患者さんの状態に合わせて3〜12か月ごとにメンテナンスを継続しています。
その結果、30年間に失われた歯は、年齢別のグループで1人平均0.4〜1.8本でした。
また、歯周病や虫歯の進行によって失われた歯は、対象集団全体でわずか21本と報告されています。
30年という長い期間で考えると、非常に興味深い結果です。
もちろん、この研究は、3か月ごとの定期検診だけの効果を証明したものではありません。患者さん自身のセルフケアや専門的な清掃、継続的な指導などが組み合わさった結果です。
それでも、**定期的な予防管理を長く続けることが、歯を守るうえで大切である**と考える根拠の一つになっています。
参考文献:Axelsson P, et al. *Journal of Clinical Periodontology*. 2004.
2.なぜ3か月ごとの定期健診をおすすめするのか?
患者さんから「歯科検診は半年に1回ではだめですか?」と聞かれることがあります。
では、なぜ歯科医院では「3か月後にまた来てください」とお伝えすることが多いのでしょうか。
その理由の一つが、歯周病の管理です。
歯周病は、歯を支えている歯茎や骨に炎症が起こる病気です。進行すると歯を支える骨が失われ、最終的には歯が抜けてしまうこともあります。
厄介なのは、初期から中等度の段階では、痛みなどの自覚症状が少ないことです。
毎日しっかり歯を磨いているつもりでも、歯と歯の間や歯周ポケットの内部には汚れが残ることがあります。
また、歯科医院で歯石を除去しても、その後のセルフケアや歯周病の状態によっては、再び炎症が起こることがあります。
2020年に発表されたTrombelliらの研究レビューでは、中等度から重度の歯周病患者さんについて、2〜4か月間隔の歯周病メンテナンスは合理的な選択肢であると報告されています。
つまり、3か月という期間は、単に歯科医院が決めた習慣ではなく、歯周病の再発や進行を防ぐための管理間隔として、科学的な検討が行われているのです。
ただし、すべての方に3か月ごとの定期健診が必要というわけではありません。
参考文献:Trombelli L, et al. *Periodontology 2000*. 2020.
3.定期的な歯科メンテナンスを続ける人ほど、歯を残しやすい?
歯周病治療で大切なのは、治療が終わった後です。
歯石を取り除き、歯茎の炎症が落ち着いたとしても、それで歯周病のリスクが完全になくなるわけではありません。
2021年に発表された長期観察研究では、歯周病治療後のメンテナンスと歯の喪失との関係が調べられています。
その結果、単純な受診回数だけでなく、**メンテナンスを規則的に継続しているかどうかが、歯周病による歯の喪失リスクに有意に関係している**ことが示されました。
特に重度の歯周病患者さんでは、受診を長期間中断することが歯の喪失リスクと関連していました。
この研究では、重度の歯周病(ステージIII・IV)の患者さんで、5年間のうちメンテナンスを受けなかった期間が合計1年を超える場合、欠席期間が1年だけの患者さんと比較して、歯周病による歯の喪失のオッズ比が2.55と報告されています。
ただし、これは歯を失う確率が必ず2.55倍になるという意味ではありません。また、3か月間隔と6か月間隔を直接比較した結果でもありません。
私がこの研究から重要だと考えているのは、一度治療して終わりではなく、その後も定期健診やメンテナンスを継続することです。
歯周病は、治療後の管理まで含めて考える必要があります。
4.歯科の定期健診は3か月と6か月、どちらがよいのでしょうか?
患者さんからもよく聞かれる質問です。
実際のところ、全員が3か月ごとに通えばよいというわけではありません。
2015年に発表されたシステマティックレビューでは、歯周病治療後のメンテナンス間隔について、3〜6か月という比較的短い間隔が歯の維持に有利な傾向を示す研究がある一方、その差が統計学的に有意ではない研究もあると報告されています。
また、2020年のコクランレビューでは、一般的な成人の歯科検診について、6か月ごとの検診と、個人のリスクに応じた検診間隔とを比較した場合、虫歯や歯周病などの結果にほとんど差が認められませんでした。
つまり、科学的には、3か月ごとの受診がすべての人にとって最良だと断言することはできません。
一方で、歯周病の既往がある方や、歯周ポケットが深い方、出血が続いている方などでは、短い間隔での管理が必要になることがあります。
ヨーロッパ歯周病学会(EFP)の診療ガイドラインでも、歯周病治療後のメンテナンスは、患者さんのリスクに応じて3〜12か月の範囲で設定することが推奨されています。
当院でも3か月を一つの目安にしていますが、検査結果を確認しながら、一人ひとりに適した間隔をご提案することが大切だと考えています。
5.こんな方には3か月ごとの定期健診をおすすめします
特に、次のような方は短い間隔でのメンテナンスを検討したいところです。
– 過去に歯周病の治療を受けたことがある方
– 歯茎から出血することがある方
– 歯周ポケットが深い、または歯石がつきやすい方
– インプラント治療を受けている方
– 喫煙習慣がある方
– 糖尿病など、歯周病のリスクに関係する全身疾患がある方
– ブリッジや被せ物が多く、清掃が難しい方
もちろん、これらに当てはまるから必ず3か月というわけではありません。
歯茎の炎症、歯周ポケットの深さ、磨き残し、虫歯のリスクなどを総合的に確認して判断します。
6.フリージア歯科クリニックの定期健診で大切にしていること
私が定期健診で重視しているのは、単に歯石を取ってきれいにすることだけではありません。
今ある歯を、できるだけ長く健康な状態で使い続けられるようにすることです。
そのためには、虫歯の有無だけでなく、歯茎の状態や噛み合わせ、過去に治療した歯の状態なども確認する必要があります。
歯周ポケットの検査、必要に応じたレントゲン検査、歯石やプラークの除去、歯ブラシや歯間ブラシの使い方の確認などを通して、お口の状態に合った管理を考えていきます。
歯科の定期検診というと、虫歯がないか確認するだけだと思われるかもしれません。しかし、実際には歯周病の状態や日頃の清掃状況を確認することも重要です。
インプラントやセラミックなどの治療を受けた方も同様です。
どれだけ精密な治療を行っても、その後のメンテナンスが不要になるわけではありません。
特にインプラントは虫歯にはなりませんが、周囲の組織に炎症が起こるインプラント周囲炎には注意が必要です。
治療した歯も、治療していない歯も、長く使っていただきたいと思っています。
7.10年後、20年後の自分の歯のために
歯科医師として、できるだけ患者さんご自身の歯を残したいという思いがあります。
インプラントや入れ歯、ブリッジなど、失った歯を補う治療にはさまざまな方法があります。しかし、健康な天然歯を守れるのであれば、それに越したことはありません。
「痛くなってから歯医者に行く」という習慣を、「悪くならないように定期健診を受ける」という習慣に変えていただきたいのです。
3か月ごとの定期健診は、そのための一つの選択肢です。
もちろん、お口の状態が安定している方は、もう少し間隔を空けられる場合もあります。
大切なのは、自分に合った頻度を知り、無理なく続けることです。
10年後、20年後も自分の歯で食事を楽しみ、笑顔で過ごせるように。
最近歯科検診を受けていない方、歯周病が気になる方は、ぜひ一度お口の状態を確認してみてください。
フリージア歯科クリニックでは、大切な歯を1本でも多く残すための定期健診・メンテナンスをご案内しています。
大阪・本町で歯科の定期健診をお考えの方は、お気軽にご相談ください。
フリージア歯科クリニック オリックス本町ビル院
日本口腔インプラント学会 専修医
日本口腔外科学会 所属
日本歯内療法学会 所属
日本睡眠歯科学会 所属
日本歯科審美学会 所属
日本臨床CAD/CAM学会 所属
文責:院長 歯科医師 浦 栄吾
## よくある質問(FAQ)
Q1.歯科の定期健診は3か月ごとに受けた方がいいですか?
歯周病の既往がある方や、歯茎に炎症が残っている方などには、3か月ごとのメンテナンスが適している場合があります。ただし、すべての方に必要な間隔ではなく、虫歯や歯周病のリスクに応じて判断します。
Q2.3か月ごとの定期検診で歯の残存率は高くなりますか?
定期的な歯周病メンテナンスの継続と歯の喪失リスクの低下には関連が認められています。ただし、3か月ごとが6か月ごとより、すべての患者さんで有意に優れているという十分な証拠はありません。
Q3.歯科検診を半年に1回では遅いですか?
必ずしも遅いわけではありません。歯周病が安定しており、虫歯のリスクも低い方は、6か月間隔などが適している場合があります。
Q4.歯が痛くなくても定期健診は必要ですか?
虫歯や歯周病は、初期段階では痛みなどの自覚症状が出ないことがあります。症状がなくても定期的に状態を確認することで、問題の早期発見につながります。
Q5.歯科の定期健診では何をしますか?
虫歯の確認、歯周ポケットや歯茎の状態の検査、歯石・プラークの除去、歯磨き指導などを必要に応じて行います。検査内容は患者さんのお口の状態によって異なります。