こんにちは。フリージア歯科クリニック院長の浦です。
インプラント相談に来られる患者様から、
「上顎は骨が薄いのでインプラントはできませんと言われました」
「骨がないから入れ歯しかないと言われました」
「他院で断られたのですが、本当に方法はないのでしょうか?」
というご相談を受けることがあります。
確かに上顎は下顎に比べて骨が柔らかく、歯を失った後に骨が痩せやすい特徴があります。そのため、インプラント治療の難易度が高くなることがあります。
しかし、「骨が少ない=インプラントができない」というわけではありません。
現在では様々な治療技術が発達し、以前なら難しいと判断された症例でもインプラント治療が可能になるケースが増えています。
今回は、上顎に骨がないと言われた方に向けて、どのような治療方法があるのかをわかりやすく解説します。
なぜ上顎は骨がなくなりやすいのか
歯を失うと、その部分の骨は徐々に痩せていきます。
特に上顎の奥歯は骨の上に「上顎洞(じょうがくどう)」という空洞が存在します。
風邪や蓄膿症の際に耳鼻科で説明される副鼻腔の一つです。
歯を抜いた後、
- 骨が吸収される
- 上顎洞が下がってくる
という二つの変化が起こります。
その結果、インプラントを埋めるための骨の高さが不足してしまうのです。
歯を失ってから長期間放置している方ほど、この傾向が強くなります。
実際にCTを撮影すると、
「骨の高さが3〜4mmしか残っていない」
というケースも珍しくありません。
骨が少ないとインプラントはできないのか?
結論から言うと、多くの場合は治療可能です。
もちろん骨の状態によって治療方法は変わります。
しかし現在では、
- ソケットリフト
- サイナスリフト
- GBR
- ショートインプラント
- ザイゴマインプラント
など様々な選択肢があります。
重要なのは「骨がない」と言われたことではなく、
「どの程度骨がないのか」
を正確に診断することです。
当院ではCT撮影を行い、骨の幅・高さ・密度を立体的に評価して治療計画を立てています。
方法① ソケットリフト
上顎奥歯で最も多く行われる骨造成法です。
骨の高さがある程度残っている場合に適応となります。
一般的には骨の高さが5〜7mm程度残っているケースです。
インプラントを埋入する穴から上顎洞の粘膜を慎重に持ち上げ、その下に骨補填材を入れて骨を増やします。
患者様からすると、
「骨を作る大掛かりな手術」
というイメージかもしれませんが、実際にはインプラント埋入と同時に行えることも多く、身体への負担は比較的少ない治療です。
当院では特殊な機器を使い骨の高さが1mm程度でも上顎臼歯部のインプラントで頻繁に行っています。
方法② サイナスリフト
骨の高さが著しく少ない場合に行う方法です。
骨が2〜4mm程度しか残っていないケースでも適応となることがあります。
上顎洞の側面に小さな窓を作り、粘膜を大きく持ち上げて骨補填材を移植します。
ソケットリフトよりも広範囲に骨造成が可能です。
治療期間は長くなりますが、
「骨が足りないから無理」
と言われた患者様がインプラント治療を受けられる可能性を広げる方法です。
方法③ GBR(骨造成)
GBRとは骨誘導再生法と呼ばれる方法です。
骨の高さではなく、
- 骨の幅が足りない
- 骨が部分的に欠損している
場合に行います。
インプラントを埋入した周囲に骨補填材を入れ、特殊な膜で覆うことで骨の再生を促します。
歯周病で骨が失われた方や、抜歯後に大きく骨が痩せた方でよく行われる治療です。
当院では化学合成された安全性の高い骨補填材を使用し、患者様の負担軽減に努めています。
方法④ ショートインプラント
近年普及してきた治療方法です。
以前は長いインプラントを埋入することが主流でした。
しかし現在はインプラント表面性状や設計が進化し、短いインプラントでも十分な成功率が報告されています。
骨の高さが不足していても、
「骨造成を行わずに治療できる」
可能性があります。
患者様にとっては、
- 手術が小さい
- 治療期間が短い
- 費用を抑えられる
というメリットがあります。
ただし症例を選ぶため、すべての患者様に適応できるわけではありません。
方法⑤ ザイゴマインプラント
重度の骨吸収が起こっている方に適応される特殊なインプラント治療です。
通常の上顎骨ではなく、頬骨(頬骨弓)に固定します。
総入れ歯の方や重度歯周病で骨が大きく失われた方でも固定式の歯を回復できる可能性があります。
非常に高度な技術が必要になるため、実施できる歯科医院は限られます。
しかし、
「骨がないから総入れ歯しかない」
と思われていた患者様にとっては大きな希望となる治療法です。
骨造成は危険ではないのか?
患者様からよく聞かれる質問です。
確かにインターネットを見ると不安になる情報もあります。
しかし適切な診断と手術計画のもとで行えば、骨造成は決して特別危険な治療ではありません。
大切なのは、
- CTによる診断
- 解剖学的知識
- 手術経験
- 適切な術後管理
です。
私は口腔外科診療を行う中で、親知らず抜歯やインプラント手術を数多く経験してきました。
難症例ほど事前の診査と計画が結果を左右すると感じています。
「骨がない」と言われても諦めないでください
診療をしていると、
「他院で断られました」
という患者様が来院されることがあります。
もちろん、本当にインプラントが適応でないケースもあります。
しかし実際には、
- 診断方法が違う
- 治療方針が違う
- 骨造成を行うかどうかの考え方が違う
だけの場合も少なくありません。
セカンドオピニオンを受けることで治療の選択肢が広がることもあります。
私は患者様にとって最善の方法を一緒に考えることが大切だと思っています。
まとめ
上顎に骨がないと言われても、インプラント治療が不可能とは限りません。
現在では、
- ソケットリフト
- サイナスリフト
- GBR
- ショートインプラント
- ザイゴマインプラント
など様々な治療法があります。
重要なのは「骨がない」という言葉だけで諦めるのではなく、CTによる正確な診断を受けることです。
当院ではCT診断をもとに、患者様一人ひとりのお口の状態に合わせた治療計画をご提案しています。
他院でインプラントが難しいと言われた方や、骨不足で悩まれている方も、まずはお気軽にご相談ください。
治療の可能性を一緒に探していきましょう。
フリージア歯科クリニック(オリックス本町ビル院)
院長・歯科医師 浦 栄吾
日本口腔インプラント学会 専修医
日本口腔外科学会 会員
日本歯内療法学会 会員
日本睡眠歯科学会 会員
日本歯科審美学会 会員
日本臨床CAD/CAM学会 会員
文責:院長 歯科医師 浦 栄吾