大阪市西区で大阪メトロ御堂筋線、中央線、四つ橋線の本町駅直結のフリージア歯科クリニック オリックス本町ビル院の院長の浦です。
「いびきがひどい」「寝ても疲れが取れない」「日中に強い眠気がある」
このような症状がある方は、睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome:SAS)の可能性があります。
睡眠時無呼吸症候群とは、睡眠中に呼吸が何度も止まったり、浅くなったりする病気で、10秒以上の無呼吸や低呼吸が1時間に5回以上起こる状態を指します。日本では潜在患者を含めると数百万人規模とも言われており、決して珍しい病気ではありません。
特に問題なのは、自覚症状が乏しいまま進行することです。放置すると高血圧、心筋梗塞、脳卒中、糖尿病の悪化など、全身疾患のリスクが高まることが分かっています。
睡眠時無呼吸症候群の主な原因
SASの原因にはいくつかありますが、多くは以下のような要因が関与しています。
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下顎が小さい・後退している
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舌が大きい、舌の位置が後方に落ちやすい
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肥満による気道の狭窄
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扁桃肥大
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鼻づまり
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加齢による筋力低下
特に日本人は骨格的に下顎が小さく、舌が後方に落ちやすいため、歯科的アプローチが非常に有効なケースが多いとされています。
睡眠時無呼吸症候群の治療法
SASの治療には主に以下の方法があります。
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CPAP(シーパップ)療法
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口腔内装置(オーラルアプライアンス:OA)
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外科的治療
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生活習慣の改善(減量、飲酒制限など)
この中で、**歯科医院が関与できる代表的な治療が「オーラルアプライアンス(OA)」**です。
歯科で作製するオーラルアプライアンス(OA)とは
OAは、睡眠中に装着するマウスピース型の装置で、下顎を前方に誘導することで舌の沈下を防ぎ、気道を広げる役割があります。
CPAPに比べて
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装着が簡単
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音がしない
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持ち運びがしやすい
といったメリットがあり、軽度~中等度の睡眠時無呼吸症候群や、CPAPが合わない方に適しています。
保険適応でOAを作製できる条件
歯科でOAを保険適応で作製するには、明確な条件があります。
保険適応の主な条件
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医科(内科・耳鼻科・呼吸器内科など)で睡眠時無呼吸症候群と診断されていること
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医師からの紹介状(診療情報提供書)があること
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簡易検査やPSG検査などでAHIが確認されていること
重要なポイントとして、
👉 歯科単独の判断では保険適応になりません。
「いびきがあるから」「家族に指摘されたから」という理由だけでは、保険診療でのOA作製は不可となります。
保険OAの特徴
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装置の設計に制限がある
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調整幅が限られる
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使用感よりも「機能優先」
保険診療である以上、一定のルールの中での作製となるため、快適性や細かなカスタマイズには限界があります。
自費のオーラルアプライアンス(OA)の快適性
一方で、自費診療のOAは、快適性・精密性・耐久性を重視して作製できます。
自費OAのメリット
① 装着感が非常に良い
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違和感が少ない
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開口しやすく、圧迫感が少ない
② 細かな調整が可能
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下顎の前方量をミリ単位で調整
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顎関節や歯への負担を最小限に
③ 破損しにくく長持ち
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高品質な材料を使用
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変形・破損が起こりにくい
④ いびきのみが主訴の方にも対応可能
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医科診断がなくても作製可能
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「保険適応外だが改善したい」というニーズに対応
特に、仕事柄CPAPが使えない方、出張や旅行が多い方、装着感に敏感な方には、自費OAが非常に適しています。
保険か自費か、どちらを選ぶべき?
これは「どちらが良い・悪い」ではありません。
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診断があり、まずは治療を始めたい方 → 保険OA
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快適性・長期使用・違和感の少なさを重視 → 自費OA
というように、目的と優先順位によって選択すべきです。
また、最初は保険OAで試し、途中から自費OAへ移行する方も少なくありません。
歯科だからこそできる睡眠時無呼吸へのアプローチ
歯科は「歯」だけでなく、
顎・舌・咬み合わせ・気道を総合的に診ることができます。
特に口腔外科的な知識や顎の評価を行える歯科医院では、
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OAが本当に適応か
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顎関節への影響はないか
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他の治療法が適していないか
まで含めた判断が可能です。
まとめ
睡眠時無呼吸症候群は、命や生活の質に関わる重要な疾患です。
歯科で作製するオーラルアプライアンスは、保険・自費それぞれに役割があります。
「いびきだから仕方ない」
「年齢のせいだから」
と放置せず、まずは正しい評価を受けることが大切です。
気になる症状がある方は、ぜひ一度ご相談ください。
フリージア歯科クリニック オリックス本町ビル院
日本口腔インプラント学会 専修医
日本口腔外科学会
日本歯内療法学会
日本睡眠歯科学会
日本歯科審美学会
日本臨床CADCAM学会
文責 院長 歯科医師 浦 栄吾